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「糖尿病ってどんな病気?」  さかまき内科医院 酒巻宏行院長
【増え続ける糖尿病】
 有史以来、初めて飽食の時代を迎え、私たちは飢餓で苦しむことは無くなりましたが、糖尿病に代表される生活習慣病といわれるものを招いてしまいました。厚生労働省により発表された平成14年の糖尿病実態調査によれば、現在日本では、糖尿病の可能性のある人は1620万人に上っています。これは五年前の調査に較べて250万人も増加しています。
【糖尿病のイメージと実像】 
 糖尿病という言葉は誰でも知っていますが、各人が様々なイメージを持っているようです。例えば、「ゴロゴロしている人がなる、甘いものを食べ過ぎるとなる、太った人がなる、遺伝する」などです。また、糖尿病になると「のどが渇く、目が見えなくなる、腎臓が悪くなる、足が腐る、インポテンツになる」というものもあります。これらは確かに糖尿病の一面を語っておりますが、ジグソーパズルの一つ一つのピースに過ぎません。
 糖尿病は痩せている人でも、甘いものを食べない人でもかかる病気で、『生活習慣が悪い』からなるというわけでもありません。現代のごく平均的な生活をしている人でも、糖尿病になりやすい体質を持っていると発症します。さらに肥満があると、血糖をコントロールするインスリンというホルモンの働きが悪くなり、一層糖尿病になりやすくなります。しかも、血糖がかなり上昇するまで症状がありません。しかし、その間に体の内部はじわじわと蝕まれていきます。

【糖尿病は血管病か】
 この病気は、主に大小の血管を障害する病気です。したがって全身の病気であるとも言えますが、特に障害されやすい臓器として、毛細血管の豊富な眼(網膜症)、腎臓(腎症)、末梢神経(神経症)があります。網膜症では毎年3000人以上が失明しており、成人の失明原因の第一位となっています。腎症のため毎年一万人以上が透析治療を始めています。さらにコントロールされてない糖尿病では、血管年齢は実際の年齢より20歳老けており、動脈硬化が進み、大きな血管障害として脳梗塞、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、脚(足)の閉塞性動脈硬化症や壊疽を起こしやすくなります。
【私たちは何で死ぬ?】
 ところで、日本人の主な死因を見てみますと、第一位は癌ではなく、血管の病気(心臓病と脳卒中を併せたもの)です。糖尿病はこれに大きく関与しています。
【予防と治療】
 糖尿病にならないためには、日頃から動物性脂肪の少ないバランスの良い食事を摂り、適正な体重を保つこと、日頃からできるだけ歩くことなど、生活習慣に少し気配りをすることが重要でしょう。もし糖尿病を発症しても、前述の食事・運動を心がけ、さらに必要なら作用の異なるいろいろな薬の中から、その人に適した薬を使用することで、良好な血糖コントロールができます。健診などで血糖の異常を指摘されたことがある人や、のどの渇きなどの症状がある人は、早めに医療機関を受診し検査を受けてください。

酒巻院長プロフィール
長崎大医学部を卒業後、同大第一内科へ入局。福岡県田川市立病院、長崎県佐世保中央病院、長崎大医学部第一内科、大分医療センター(旧国立大分病院)内科部長を経て、平成17年9月に大分市大在浜2丁目7-1、トキハインダストリー・アムス大在店東側に「さかまき内科医院」を開院。診療科目は、糖尿病や高脂血症など生活習慣病のコントロールを中心とした内科。
医学博士。日本糖尿病学会専門医。日本糖尿病学会、日本内科学会、日本肥満学会に所属。
連絡は電話097-592-6166へ。

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